「ブラよろ」2次使用権フリーで1億円超!電子書籍のフリーミアムに可能性あり
著作権フリー時代到来か?
itmmediaのニュース。
漫画家の佐藤秀峰さんは、昨年9月に「ブラックジャックによろしく」を2次利用フリー化してから4カ月半で、自身の作品の電子書籍関連売り上げが1億円を超えたことを明らかにした。 佐藤さんは9つのサイトやアプリで「新ブラックジャックによろしく」をはじめとした作品の電子書籍を販売している。「ブラックジャックによろしく」の無料配信で獲得した読者が有料電子書籍を購入していると推定している。 電子書籍販売からのロイヤリティ収入は、4カ月半で約2688万円だったという。「それまでは電子書籍関連の収入が毎月100万円をなかなか超えられなかった」ので、かなりの効果があったことになる。 ブラックジャックによろしくの2次利用は、報告があったものだけで180件。廉価版書籍として出版されたもののほか、全巻を読めるサイトやアプリは約60あり、医療系転職サイトでイラストなどとして利用されたものなどもある。(itmmediaより)
佐藤氏のつぶやき。
https://twitter.com/shuhosato/status/305172887051067392
近年、「フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略」(NHK出版)や「なんでコンテンツにカネを払うのさ? デジタル時代のぼくらの著作権入門 」( 阪急コミュニケーションズ)などを購入して、フリーミアムビジネスモデルうやコンテンツ著作権をウオッチしてきた筆者にとって、このニュースはストラークゾーン、なぜこんなことが出来たんだろうか?興味深いテーマである。
そもそも2次使用フリーは常識外
ウキペディアにも著作権は財産権であると書かれています。
著作者を守る権利であるため2次使用も許可なくコピーなどされたら、著作権を侵害されたとして訴えるものである。 例えば、音楽業界であれば・・・ 「CDがコピーされたから本来売れるはずのCDの売り上げが減った。くやしー、訴えてやる(上島風)」となる。 だから、今回の佐藤氏が2次使用権をあらゆる人に認めるということは、得られる財産を放棄したようなものだから、そもそもありえない行為でありサプライズなのです。
新しい利益モデルの実験が狙い
今回の佐藤氏のチャレンジは、フリーコピーな時代において、権利をひたすら守ることは逆に機会損失を生んでいるという問題意識があったのではないか?ということ。
この実験はKARAと同じフリーミアム?
これで思い出したのは、ジャンルは違うが、K-POPガールズグループのKARA。彼女らは 投稿されたプロモーションビデオ(PV)を著作権侵害だと「YouTube」を敵対視していた時に、逆にPVを「YouTube」に積極的に流し、認知度をアップさせコンサートでファンを誘引させた。PVを無料にしてコンサートで回収するというフリーミアムモデルを成功例である。 これと同じく、佐藤氏も2次使用フリーによって、プロモーション効果が高まり、結果、本来の電子書籍の売り上げがあがったと推測される。さらに、KARAのコンサートのグッズ販売と同じく、佐藤氏の開いた原画展で原画が想定外に売れる波及効果をもたらした。
[oEmbedTweet 305592965152243712]
上記の佐藤氏の公式サイトでは、ロイアルティ合計2千6百万円を超えているようだ。すごいことになっていることが確認できる。
著作権2次フリーは、ソーシャル時代で武器になる
今回は180件ほどの2次使用と、全巻を読めるサイトやアプリは約60ほど作られたというから、佐藤氏自らは人もお金も時間などコストをかけないで、多数のプロモーションを実行できた。著作権2次フリーという話題性もあり、ソーシャルパワーで拡大していった。権利をこだわっていたらこういった動きは出ないで不可能だっただろう。
新たな読者層を獲得も
通常多額のプロモーションコストが必要な新規の顧客まで獲得したようだ。 2次使用権利をテコに、コスト費用使わないで最大限のプロモーション効果を高めることが出来、さらに新規顧客までゲットし、本来商品の電子書籍だけでなく、関連の物販売上もシナジー効果でアップし、全体の売上につなげたのである。
プロモーションコスト↓
プロモーション効果↑
新規顧客↑
電子書籍売上↑
電子書籍関連ビジネス↑
漫画界の危機感ゆえのチャレンジ
「漫画ってもうダメじゃないですか。雑誌は売れないし単行本も売れないし、原稿料は値下がりするし、次はどこの出版社が倒産するらしいとかそんな話ばかりです。普通に考えると漫画は間もなく終了です。なので、ブロマガで漫画を連載できないかなぁって思いまして。」
佐藤氏は今後も、様々な実験をするという。それは自分だけでなく、今の漫画界への危機感あるという。漫画雑誌が廃刊になったり、原稿料が安くなったり、クリエイターが生活することも難しくなりつつあるようだ。だから今回は、自らがあえて実験台となって、漫画家などが稼げるシステムを模索するためにあった。
まとめ
今回の例は、2次使用権フリーという逆転の発想で、今後の電子書籍のマネタイズの可能性を広げたのではないだろうか。今回は2次使用フリーで、利用した人も、著作権者も、実際に購入した人も損した人はいない。まさに「Win-Win」な成功のビジネスモデルであった。
米国は既に売上げの4割が電子書籍とシェアが急拡大しているのに、日本ではまだ売上げの2%〜5%というお寒い現状である。専用端末の普及や、フォーマットの違いなど様々な要因がありますが、市場を拡大させるには、今回のように従来型の発想ではない試みももっと必要になる。
他の漫画家や作家などが同じようにしても果たして同じ結果になるとは思えませんが、この方式で追従する方が現れ、成功事例が増えてくれば、漫画家や作家らが電子書籍のマーケットにどんどん参入し、 活性化され、購読者も増えるスパイラルが生まれる可能性がある。
関連記事
-
三鷹駅南口で無料Wi-Fi開始!さっそく試してみました
さあ、無料Wi-Fi巡り第二弾は吉祥寺駅のお隣の三鷹駅。(筆者は練馬...
-
吉祥寺の無料Wi-Fi実験にトライ!スタバ以外に選択肢増える
吉祥寺定番のサンロード商店街を散策中、気になるチラシを発見。「平和通...
-
図書館で音楽クラウド体験!クラシック聞き放題レンタル
東京都武蔵野市の武蔵野中央図書館や吉祥寺図書館で7月から音楽配信サービ...
-
フォースクエア型の駅スタンプラリー発見
Twitterをなにげなく見ていたら、「駅スタンプゲット」なるツイート...
新着記事
-
見どころ満載アクションに興奮/映画『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』
映画『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』を鑑賞。飛行機ぶ...
-
お約束パニックも進化した映像で納得/映画『ジュラシック・ワールド』
映画『ジュラシック・ワールド』を鑑賞。進化した映像で恐竜の動きは素晴ら...
-
いかにもな王道パターンに懐かしさ/映画『HERO』
映画『HERO』を鑑賞。良く言えば「HERO」らしい、悪く言えば予定調...
-
ロスジブリを埋める夏のエンタメ大作/映画『バケモノの子』
映画『バケモノの子』を鑑賞。子供から大人まで楽しめる夏の大作を作る細田...
-
懐かし場面多いも、ストーリー大幅変更/映画『ターミネーター:新起動 ジェニシス』
映画『ターミネーター:新起動 ジェニシス』を鑑賞。前作のシーンを織り交...
PREV : 三鷹駅南口で無料Wi-Fi開始!さっそく試してみました
NEXT :
コメント/トラックバック
トラックバック用URL:
コメントフィード