【vol.21】船上トルコのホモ中年に狙われ貞操の危機
キエフ島 ギリシャ チュシュメ トルコ
ようやく16時になり税関も突破し船に乗った。船上からトルコの陸地は見えている。それだけ近いのだ。そもそもなぜダイレクト便が無いんだというと、ギリシャとトルコは過去何度も戦争してきたという歴史による外交上の問題で不便になっているようだ。
そろそろ日が暮れてきた時に、危機がやってきた。
船のデッキで夕日を見ながら一人悦に入っていると、ギリシャからトルコに帰るという一人の中年の男性が話しかけてきた。小太りで年齢は40代半ばいったところだろうか、気さくな感じで「どっから来たのか?」かなど話しかけられ、「おー、日本よ」などと軽く答えていた。旅は様々の出会いである。ビジネスライクに近づいてくるやつは警戒しても、普通の人と交流はむしろ積極的にした方が楽しい。
「夕日を一緒に見よう」
しかし、単なる世間話をしていたものの、徐々に話は意外な方向になった。
「宿はもうとったのか?」と聞かれ、「まだよ」と答える。
「オー、どうだろう? この美しい夕日を一緒に見ないか?」とトルコ人。
「ん?」。
英語の聞き間違いか、まあそんなに語学に自信があるわけではない。日本人の悪いくせか、とりあえず、笑ってごまかした。しかし、再び同じような事を彼は言った。今度ははっきりと聞こえた。
「どゆこと?」と頭で理解すべく動きが止まっていると、彼の右手が私の股間にスルスルと忍び寄ってきた。
「オイオイ、ちと待て」と、パニクル頭を整理してこの展開を考えた。
ようするにこの人は、東洋から来たオリエントボーイを誘っているんだとようやく悟った。イスラム圏にはホモが多いと聞くが、まさか自分が狙われるとは意外。それもこの夕日の奇麗な光景ととは違って現実は無惨だ。
とにかくこの場はそれどころでない。「やばい下に戻らなきゃ」とヘタな演技をしながら意思表示し、彼の手をはねのけ、焦りながら人が沢山いる船の中にかけ戻った。動機は収まらなかったが、彼ももうおってはこないようだ。とりあえず窮地を脱した。
気さくなシンガポール人と知り合う
そしてフレンドリーな東洋人の2人組と知り合いになった。アレックス、ベンジャミンという。二人ともシンガポール人でトルコで勉強しているようだ。ようやく旅らしくなってきた。
そして夕日が沈み辺りは暗くなっていった。約2時間後ようやく船は止まった。ついに最終目的地のトルコに到着した。しかし、トルコリラを私は持っていない。銀行も終わったようだ。
「さてこれからどうしよう?」
<旅行記:1996年3月6日>◇13日目-3◇ギリシャ→トルコ