【vol.23】優しいキリシタン餞別の一枚のコインに涙する

エフェソス トルコ

トルコ・エフェソス

ボーダレスなワンコイン

 昨夜の聖書勉強の余韻がさめぬうちに、ベットから目を覚ました。何か音がすると思うと、アレックスが朝食の準備をしている。目玉焼きを焼いているようだ。いたれりつくせり申し訳ない。「おはよう」と軽くあいさつし、トルコで初めて朝食をすました。その後、銀行を探すために部屋を一緒に出た。銀行でトルコリラに両替し、アレックス、ベンジャミンに渡した。そしてお別れの時が訪れた。
アレックスは、おもむろに私にコインを渡した。「何?これ」という私のリアクションに、トルコではこのコインで一枚でどこからでも電話がかけられると説明。「トシ、我々は家族だ。トルコでもし困ったことがあれば、電話してこい」と優しく話してくれた。何度も「ありがとう」と連発し、ほんとに感謝し、優しいキリシタンのアレックス、ベンジャミンと別れた。
そして、イズミールから、次の目的地エフェスに向かった。バスで2時間ほどだ。
12時過ぎ、バスを降りると、さっそくホテルの呼び込みがたくさん声をかけてきた。いつもなら相手にしないのだが、このトルコの田舎風な空気に油断して話を聞いてしまった。連れてってもらうと、結構清潔でいい感じ。他をあたるのも面倒だったので決めてしまった。

のどかなエフェスの地でスローライフ

 最高の天気だ。空が青く、緑は深い。散歩に出かけた。ここで有名な遺跡を見に行こうとした。すると入り口で丸テーブルでお茶をしているグループに話しかけられた。日本人の女性とトルコの男性。そして日本人の大学生風の男性2人。女性は1週間も滞在しており、すでにここの人と化していた。とにかく世間話をして、私は情報を得て中に入った。遺跡は結構有名らしく、白人の観光客もたくさん居る。実はすでに、遺跡なんてどうでも良くなっていた。エジプトからもう見飽きていた。「ホント、空気が良い。自然が雄大で美しい」と、思いっきり両手を上げ、しばし芝生に寝た。
夕方になった。遺跡を後にし、また街の散策に出かけた。途中、遊んでいる子供達と、童心にかえり勝負した。夕日を浴びた城を見て、思わず写真を一枚。静かでいい街だ。

<旅行記:1996年3月7日>◇14日目◇トルコ